ある日、森の中(恋する暴君)に 迷い込んだ、哀れなウサギさんの萌叫び・・・
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妄想SS~『家族』<前編>

※注※
オリジナルのキャラのイメージが損なわれることが
許せない方、オリジナル以外は受け入れられない方は
絶対に続きをクリックしないで下さい。


真崎さんからのメールが
兄さんに<会って話がしてみたい>だったら・・・妄想です。

宗一兄さんVS真崎さん編。
流血ざたは今回はありません(爆)
居酒屋で喋ってるだけなのでご安心ください。
萌えどころ&えちもありません(あったらえらいこっちゃ~;;T△T*)

前回のSS『削除不可』の続編になります。

なんでもOKと寛容な方のみどうぞ~


***** 『家族』 <前編> *****



<福岡に帰るのを一日延ばした
 お前の『先輩』に会って話がしてみたい
 計らってもらえないか?>

夕べ、何年か振りで再会した
初恋の相手、真崎からの突然のメールに
哲博は心底驚き困惑した。

(先輩に会いたいって
 どういうこと・・・?)

なんかおかしなこと言ったっけ? オレ・・・

茫漠とした不安に
夕べの真崎との会話を思い起こそうとした。

『それでいいのか?
 つらくないのか?』

真崎さんは先輩とオレとのことに
怪訝そうな顔をしてた。
でも納得してくれたと思ってた。

納得してくれなかった?
何の話があるの?
直接、先輩に・・・?

いや・・・それよりも
言えないよ・・・先輩に 

どうしよう・・・

「・・・りなが!」
(どうしよう・・・)
「森永!!」
「・・・は、はい?」
「何やってんだよ! 試薬、これじゃねえだろ!」
「あ、すみません! これ・・・」
「ばかやろうー これでもねーよ!」
「あ、ああ・・・! す、すいま・・・」
慌てて試薬の壜をひっくり返す。
「なにやってんだよ もう」
「ご、ごごご、ごめんなさい! 今片付け・・・」
「・・・もういい・・・帰れ」
「すいません! ちゃんとやりますから」
「いいって オレが片付けるから」
「すいません・・・」
「・・・どーしたんだよ?」
「え いや・・・ なんでも・・・」
「注意力散漫でやってたら怪我するだろ
 試薬の中には危険なものもある
 それわからんお前じゃないだろ?
 ホントにどうしたんだよ?」
「いえ・・・ほんとに何でも・・・」
「もう今日は帰れ 帰って早く寝ろ
 疲れてるみたいだな」
「別に疲れては・・・」
「夕べ 寝たの何時だ?
 オレも食べ散らかしたままで悪かったけど
 それ片付けたり、その後でもなんかごちゃごちゃやってただろ?
 何でも一人で抱え込みやがって・・・
 もっと自分の体のこと考えてやれよ」
「・・・先輩」
「オレのメシのことはいーから
 どっかで食べてくからさ
 早く帰って、温かいもん腹に入れて
 とっとと寝ちまえ」
「・・・はい」
「早く行けよ!」
「はい! じゃお先に」

宗一の無骨な労わりの言葉に
じわりとした胸の温かい痛みを感じながら
哲博は意を決して手早く真崎のメールに返信した。

・・・
・・・

「おまたせー
 塩焼き定食ねー
 小鉢はおまけ!」

常連になっているアパートの近くの小さな食堂で
宗一は湯気の立つ味噌汁をそろそろとすすっていた。

「今日は一人? 
 いつも一緒のデカイにいちゃんは?」
「先に帰りました」
「そう 一人じゃ味っ気ないねー」
「はぁ」

愛想のいい店の女将にあいまいに頷いて
一足早く帰した同居人の不審な言動を思い起こした。

(ヘンだったよな・・・あいつ)

「今日はビールはいいのー?」
「これしか持ってなくて」

宗一はジーンズのポケットから
細かく畳まれた千円札を取り出した。
森永と同居するようになってから
宗一はお金を持ち歩かなくなった。
毎月同額づつ出し合う生活費のための口座は森永名義で
共有の財布も森永が管理している。
その森永をうっかり先に帰してしまい
タバコ代としてポケットに捻じ込んでいた
一枚のお札しか持ち合わせがなかったのだ。

「すいません」
「いいよー よければ一杯奢るよー」
「いえ あんまり飲みたい気分じゃ・・・」
「そうー やっぱり一人じゃねー」

やたら『一人』を強調する女将の言葉に
居心地の悪さを覚えながら
宗一はキレイに魚の身をほぐしていった。

(ま・・・昨日に今日で
 いろいろ考えることがあんのかもしんねーけど)

宗一には同居人であり後輩でもある
森永哲博の気持ちが全く理解できなかった。

自分を手酷く裏切った相手をどうして
そうも容易く許せるのか・・・

オレだったらボッコボコにしてやるのに!

(ああ 止めだ! 止めだ!
 あいつがスッキリしたってんなら
 もうオレがなんも言うことはねえ
 あー バカみてえ オレ・・・
 ちくしょう・・!!)

自分を苛立たせる同居人にも
今だ収まらない怒りを抱える自分にも腹をたてて
宗一はぱくぱくと飯を口に運ぶ。

(あいつ ちゃんと寝てるかな?
 よけーなことして起きてたら
 身包み剥がして水風呂に沈めてやる!)

物騒な啖呵で律儀な同居人を案じると
湯飲みに手を伸ばそうとして、女将に取り上げられた。

「それもう冷めてるだろーこっちどうぞー」
「あ すいません」
「熱いから気をつけてねー」
「ありがとうございます」

宵も深まり、そろそろ客足も衰えたとはいえ
宗一の座る向こうの席以外ほとんど埋まっている。
それでも母性的な笑顔を振り撒く
豊満な女将の気配りは全ての客に注がれているようだ。

ちりん・・・

「いらっしゃいませー」
「らっしゃーい!」

軽いベルの音と威勢のいい声に
おもわず顔を上げた宗一は
暖簾を分けて入ってきた客の顔を見て目を向いた。

「あー悪いねぇ 席一杯だわー
 カウンターちょっと詰めてもらって」
「いえ けっこうです」

女将をやんわり制すると
男は宗一に向かって佳麗に微笑み近づいてきた。

「よかった・・・
 二軒目でヒットするとは運がいい」
「・・・」
「探してたんだ
 君がここのような素朴な店が好きだと聞いて」
「・・・探してた?」

落ち着き払った不遜なその所作に
無理矢理収めようとしていた
滾るような敵意がむくむくと湧き出す。

「断られたよ 哲博に
 君と会って話がしたいから
 段取りを付けて欲しいと頼んだんだが
 あっさり断られた」
「・・・」
「座ってもいいか?」
「オレはアンタに話すことなんかねえよ」
「ぶっとばしたいんだろ?
 それならそれでもいい
 外に出ようか?」
「・・・」

急になにもかもが馬鹿馬鹿しくなって
残っていたタクアンの一切れを口に放る。

「言いたいことがあるなら早くしてくれ」
「ビールでいいか?」
「アンタと飲む気はねえよ」
「付き合ってくれないか 一杯でいい」

透明なグラスに琥珀色の液体が
白く泡立ちながら注がれるのを
宗一は憤然とした気持ちで見詰めていた。

「別れて欲しいんだ」
「は?」

二つのグラスを満たすと
一つを宗一の前に置いて
男は思っても見なかった言葉を吐いた。

「哲博と別れて欲しい」
「・・・はぁ?」

あまりに唐突な言葉に宗一は唖然と男の顔を見た。

「君は付き合ってないと言った
 なら別れられるだろ?」
「イミわかんねー
 同居止めろってことか?
 そんなのアンタに関係ないだろ?」
「哲博は君を愛してる」

「は・・・?」
「わかっているんだろ? 彼の気持ち
 なら俺の言いたいこともわかるはずだ」
「わかんねえよ ぜんぜん!」

「君はノンケだそうだが・・・」
「・・・」
「君がどういうつもりで
 哲博と暮らしているか理解できない」
「あいつがそうしたいって言ったからだ」
「君の気持ちを聞いてるんだ
 哲博が望むなら君はなんでも叶えてやれるのか?」
「・・・」
「哲博の気持ちに応えられないのなら
 哲博を自由にしてやってくれ」
「森永は自由だろうが!」
「そうだろうか?」
「・・・?」

「哲博は君に夢中みたいだ
 夕べも研究の話をしているのに
 二言目には君の話になる
 大学でも家でも
 哲博の生活は君中心に回ってるみたいだ」
「なんかアンタの話聞いてると
 オレが森永に首輪つけて檻に入れて
 好き勝手してるみたいじゃねえか?」
「そうだろ?」
「なに?!」

「自分にこんなことを言う資格がないことは
 わかってる
 だが、君にそう忠告できるのも俺以外ない」
「忠告?」
「俺は哲博を裏切って傷つけた
 そのために俺自身も苦しんだ
 俺の今の痛みはいずれ
 君のものになるんじゃないのか?」
「・・・」
「だから
 哲博がまだ君に溺れない前に
 哲博と別れて欲しい」
「・・・」

男は微妙に宗一から視線を外し
声から抑揚を無くし囁くように喋った。
色素の薄い澄み切った瞳に感情の揺らぎは感じられない。
整いすぎた美貌は繊細な職人の手による日本人形のようで
宗一はまるでロボットと向かい合っているようだと思った。

「なに言ってんだか
 ぜんぜんわかんねー」
「君は人の話をちゃんと聞いてるのか?!」
「色恋沙汰なんか下らねえ」
「・・・なんだって?」

白磁のような頬に赤みが差して
人形に魂が宿ったような気がした。

「色恋沙汰なんか
 オレにはわかんねえって言ってんだ」
「・・・なに言って?!」

男の声が本来の声音を取り戻し感情をあらわにし始める。
それに反して宗一の心は不思議に鎮まっていった。



***** <後編に続く> *****



あとがき<言い訳>(笑)は後編のあとで。
期待しないで待っててください~;;^^)
ここまで読んで下さってありがとうございました~★

お茶して一服してくださいませ~

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