ある日、森の中(恋する暴君)に 迷い込んだ、哀れなウサギさんの萌叫び・・・
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妄想SS~『風・・・』

遅くなりましたが
森永君バースディ&七夕SSってことで。
(誕生日とも七夕ともぜんぜん関係ないけど;;)

※えちはいっさいありません。
 12歳以下のご児童の方でも健全にお読み頂けます。
 ただしSS嫌いな方は年齢に関係なくご遠慮下さいませ。


******** 『風・・・』 ********


「ーーまぁーーぐーーちーーー!」

浅い眠りにまどろんでいた意識の中に
一陣の風のように
明朗な声が響き渡って行った。

学食でランチを終え
次の講義までの時間を一眠りしようと
大学の中庭の植え込みの陰に横たわってから
それほど時間は経っていなかった。

「声」の発信源を捜し求めるように頭を持ち上げた途端
忘れていたこめかみの奥の痛みにおもわず顔をしかめた。

(あったま・・・いってぇー)
夕べ、ゼミの先輩達に誘われ
無理矢理付き合わされたカラオケ店の隅で
宗一は所在無く一人、缶ビールを開けていた。

(二度とカラオケなんか行かねぇぞ・・・)
好きなわりに酒が強いわけではない宗一にとって
ろくな肴も無く、ただ胃に流し込むだけのアルコールと
聞き慣れない音楽は拷問に近い。

日ごろの寝不足と
未代謝のアルコールが及ぼす頭重。
植え込みの茂みに一株、忘れられたように咲く
手毬のような淡紅色の花の香りまで癇に障って
その時の宗一は最悪な気分を抱えていた。

「やーまーぐーちーーー!!」

目覚める前に耳にした
明朗な声が今再び聞こえてきた。

中庭には大勢の学生が昼下がりの憩いを楽しんでいて
あちこちから聞こえる雑談の声は
まるで蝉の羽音のように、宗一の神経を逆立てる。

しかし、風のように聞こえてきたその声は
ふとその声の持ち主を確認したいような
明るさと清涼感、伸びやかな心地よい響きを持っていた。

宗一はこめかみに手を当てたまま上体を起こし
声が聞こえてきた方角に首を巡らした。

「待てよー! 逃げ足の速い奴だなー」

からかうような、くすぐるような声音で呼びかけながら
その明るい声の持ち主は
宗一が人目を避けて寝転んだ
植え込みの向こう側を駆け抜けて行った。

細身のジーンズをはいた長い脚。

宗一が上半身を起こしたときには
もう声の主は、宗一の目の前を過ぎていた。

飛ぶように軽やかに駆け抜けて行った
長身のその青年は
ずっと先に見える友人らしい男に向かって
腕を振っていた。

友人らしい男は笑っている。
早く来いと手招きするように両手を振っている。
宗一に後姿を見せて駆けていく青年も
同じように満面の笑顔で応えているのだろう。

漆黒のサラリとカットされた髪が
青年の軽やかな走りにふわりと浮き上がり
初夏の光の中でキラリと天使の輪を煌かせた。

友人に追いついた青年は歩みを止めて
一瞬、宗一のいる方角を振り返った。
もちろん植え込みの陰にいる宗一の姿は
青年の視界には入らない。

青年はかすかに小首を傾げる所作をした。
そして友人に促されるまま
建物の中に入っていった。

宗一はただぼんやりとそれを見ていた。
見蕩れていたというわけでもなく、ただ
声が聞こえたから顔を上げ、そのまま何となく
青年が自分の前を駆け抜けて行くのを眺めていたに過ぎなかった。

(オレもそろそろ行くか・・・)
アイボリーのコットンパンツに付いた芝を払い
宗一はかったるそうに身体を起こした。
(あれ・・・?)
額に手をやって宗一は小首を傾げた。
先ほどまでの頭痛も胸の不快感もすっかり消えていた。

(ちょっとでも寝たのが良かったんだな)
ぐっと一息伸びをすると
寝乱れてシワになった白衣を体ごとパンパンと叩き
無造作にポケットに手をつっこんで
青年が去ったと反対の方向にある建物へと歩き出した。

「どうした?」
「え?」
「さっきさ おまえ、中庭の方見てたろ?
 なんかあった?」
「いや・・・ちょっとさ
 良い匂いがしたんだ」
「匂い?」
「うん 甘いような美味しそうな・・・」
「おまえ、あんだけ食っといてまだ足りないのか?」
「いや そうじゃなくて」
「あれだろ? 沈丁花」
「沈丁花?」
「あそこらへんの植え込みに
 一株だけ妙に開花の遅い沈丁花が咲いてるって
 高木達が言ってた
 さすが女子はそういうことよく気が付くよな」
「うん・・・
 花とはちょっと・・・違う気がしたんだけど
 気のせいだったかもな」
「ふうん?」 
 
訝しげな友人にあいまいに笑って
青年はもう一度中庭を振り返った。

昼休みが終わり、学生達がちりじりに去っていった中庭に
惜しみなく初夏の陽光が降り注いでいる。
その光の中から向こうの建物の暗がりにと消えていく
ほっそりとした後姿を、青年の目は一瞬捉えた。

男か、女かも定かではない。
色素の薄い背まで垂らした長い髪を一括りにして
・・・だから女なのか?
いや・・・
白衣の裾をひるがえして大またに去っていく。
闊達な足取りはたしかに男のものだ。

長身だが華奢なシルエットの後姿は
あっというまに建物の暗がりに
吸い込まれるように消えてしまった。

衝動的に
青年の足はその人影を追って走り出しそうに疼いた。
(・・・いや)
同じ大学にいるなら・・・
(会える・・・)
ここに何百人、学生がいると思ってる?
学生とは限らない。

その時
一陣の乾いた風が青年の滑らかな頬を叩いた。

(いい風・・・)

青年は誰にともなく晴れ晴れと微笑んで
抜けるような空の青さと
陽だまりの匂いをおもいっきり吸い込んだ。


*****END*****


どもおそまつさまでした。

え・・・っと
兄さんと森永君の始まりは
森永君の一目惚れってことですが
ちょっとそれを覆すようなエピソードを
妄想してみました。

実は兄さんの方が先に
森永君を見つけてた
・・・というような。

もっとも顔は見てませんし
兄さんの場合、恋愛に於ける情緒面が
欠落しているので一目惚れってわけでもない。

実は兄さんは声フェチだった~~~???という
衝撃の妄想SS・・・(すいません;;声フェチは私です)

そして森永くんは匂いフェチ???
だって~ワンコだし~~嗅覚は人並み以上だと・・・;;

実は某Hさんが二人がまだ親しくなる前のSSを書かれてて
ああ、そういうエピソードも萌えるなぁって。

・・・で、まだ<出会っていない>シチュにしてみました。
なので当然色っぽいことは全くありませんけど。
私はこういう「なんとか未満」な話、好きなのです。

読んで2巻を思い出した方もいると思いますが
そうです。あんな感じで地面に寝っころがる
兄さんをイメージしてみてください。

それから
『沈丁花』・・・
東海地方では2月から3月に咲く
春の訪れを感じさせてくれる可憐な花です。
中国原産の雌雄異株の低花木。
しかし日本にあるものはほとんどが雄株で
花は咲いても実は結ばない・・・。

学名<Daphne odora>
Daphne・・・ダフネー
odora・・・・芳香
ギリシャ神話にてアポローンの求愛を拒んで
月桂樹になってしまった永遠の処女
ダフネーの名を持つ花。

清らか兄さんにぴったりじゃありませんかぁ~ってことで採用(笑)
というより、沈丁花とか紫陽花とか小手毬とかライラックとか
小さな花が集まって咲いてる花が私は好きなんですよ。

そんなわけで
ホントはOVA発刊前にアップしたかったんだけど
間に合わなくて~じゃ森永君の誕生日SSに~と思ってたら
それも合わなくて~~~~;;
でも6巻発売前には間に合った。良かった。ほっ・・・。

最後まで読んで下さってありがとうございました~★

お茶して行ってね

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