ある日、森の中(恋する暴君)に 迷い込んだ、哀れなウサギさんの萌叫び・・・
ゴールデンウイーク妄想SS~『ピクニック』

終わっちゃいましたね。
ゴールデンウイーク
みなさんいかがお過ごしでしたか?
私は予定通りバイト三昧。
やっと今日~休みになりました。

・・・でお約束の
ゴールデンウイーク妄想SSです。

『ピクニック』

※いつものことですが
 えちはいっさいありません。
 18歳未満の方も大丈夫~。たぶん・・・(笑)
 これがダメだってんならBLはいっさい御法度ってことね。
 ただしSS嫌いな方は以下ご遠慮下さい。


ピクニックの約束編SSはこちら~♪
ご存知ない方はこちらからどうぞ。


******* 『ピクニック』 *******


「これは、ーーくんのコイノボリだよ」

「ぼくの?」
「そうだよ 
 おにいちゃんはこっちのちいさいのでいいから」
 このコイノボリはーーくんのだよ」 
「うん!」
「おいで あそぼ!」
「うん! おにいちゃん」
「ーーくん こっちだよ 早くおいで!」
「おにいちゃん まってよー」
「ーーくん!」

「おにいちゃん!」

(おいで こっちだよー)

(おにいちゃーん)

(おにいちゃん) 



・・・
・・・
・・・

「・・・今何て言った?・・・」

「だから、エイジ君
 かなこのボーイフレンド」

「はじめまして 高名 永二と言います」

「・・・聞いてないぞ・・・そんな話は」

「えー? だって 
 森永さんが友達も連れて来ていいって」

「ボーイフレンドがいるなんて
 オレは聞いてないって言ってんだよ!」

「先輩・・・
 かなこちゃんももう14歳なんだから
 ボーイフレンドくらいいて当たり前ですよ」

「お前は黙ってろ・・・!」

(・・・ぐっ)

「そうだよー
 巴兄さんには黒川さんがいるし
 宗一兄さんには森永さんがいるんだもん」

「・・・どういう意味だよ それは?」

「まぁまぁ宗くん そんなに目くじら立てないで
 宗くんにしてみたら突然でびっくりしたと思うけど
 大勢のほうが楽しいでしょ?
 私も俳句教室のお友達を誘えばよかったわ」

「え? 松田さん それボーイフレンドですか?」

「あら? あたりまえでしょう」

「わぁー 松田さんも隅に置けないなぁ 
 ね? 先輩」

「・・・・・・」(むっつりー)

「隅になんて置かないでね
 森永くん
 まだまだこれからですよ」

「すいませんー(笑)」

「ねぇ 宗くん
 エイジ君はとても良い子よー 
 礼儀正しいし頭もいいし
 お母さんとも料理教室で顔見知りだけどね
 とてもステキな方だし、私が保証するわ」

「・・・・・・」

「あの、こんなこと言ったら失礼ですけど
 あまり似てませんね 巽さんとお兄さん
 こちらの方(森永君)が巽さんのお兄さんかと思いました」

「俺?」

「はい よければご一緒させて下さい
 巽さんのお兄さん(本物に向かって)
 よろしくお願いします!」

「・・・・・・」(むっー)

「兄さんってばー 何とか言ってよー」

「・・・・・・」
 
・・・
・・・
・・・

ゴールデンウイーク最終日。
俺たちは緑地公園にピクニックにやって来た。

二日前、かなこちゃんと連絡を取り合った時
かなこちゃんは松田さんと、友人一人を連れて
一足先に公園に行っているから
院から直接向かう俺たちとは
現地で落ち合おうと約束していた。
かなこちゃんの友人がまさか男の子とは
俺も想像してなかったけど。

「何 にやついてんだよ?」

「え?」

「さっきからニヤニヤしやがって
 かなこの兄みたいだって言われたのが
 そんなに嬉しいか?」

「いや、そういうことじゃなくて・・・
 まぁ、嬉しいことは嬉しいですよ
 俺、下の兄弟いないから
 あんな妹がいたら可愛くてしょうがないですよね」

「ボーイフレンドなんて十年早い!」

「そんな! 今どき」

「・・・・(怒!)」

「かなこちゃんも苦労するな・・・」

「何?」

「いえいえ 何でもないですよ」

俺たちはしばらく公園内の散策路をゆるゆると歩いた。

先にかなこちゃんとそのボーイフレンド。
その後ろから大きなバスケットを抱えた松田さんが続く。
松田さんはきっと、若い二人のことを見守るように
優しく微笑んでいるんだろうな。
ふと、ボーイフレンド君が松田さんを振り返って
何か話しかけると、その大きなバスケットを受け取った。

(へぇ・・・よく気が付く子だな)

俺は、俺の隣を無言で歩く先輩の顔を見た。
しかし先輩の眉間はよけいに顰められた。
たぶん、誰がかなこちゃんのボーイフレンドでも
気に入らないんだろな。

(まるで頑固オヤジ・・・)

(ボーイフレンドくらいでこれじゃ・・・
 かなこちゃんがお嫁に行くと言い出したら大変だな)

俺は独りごちながらも自然に頬が緩んでしまう。
そんなふうに先輩に心配されるかなこちゃんは幸せだ。

「ここどう?
 芝が気持ち良さそうよ」

「シート敷くの手伝います」

「おなかすいたねー
 兄さーん! 森永さーん
 早くー ここここ!」

「うわー おいしそうー!」

ピクニックシートの上に
ずらり広げられたバスケットの中身に
かなこちゃんのボーイフレンド、エイジ君が
歓声をあげる。

俺も今朝急いで作ってきたサンドイッチや
サラダ、カットフルーツ、スープをふるまう。

「おいしいー! えーこれ? 森永さんが? 
 料理得意な男性ってカッコイイなぁー」

「いや 俺 
 高校卒業してからずっと独り暮らしだったから」

そう言いながらも褒められて悪い気はしない。
照れて頭をかいてると隣から妙な視線を感じて
振り返った。
 
「おまえ・・・
 弁当なんか作ってる暇いつあった?」

「え? ああ、先輩が院で寝てる間に
 ちょっと家に戻ってたんです
 でも下ごしらえしてあったから
 詰めて持ってきただけですよ」

「ぜんぜん気付かんかった・・・」

「先輩は疲れてたでしょう」

「それはお前だって・・・」

「大学院生なんですよね?
 実験で大変だって、巽さんからも
 お兄さんたちのこと聞いてます」

「おまえの兄貴じゃないつーの・・・」

「あ! エイジ君は将来の夢とかどんななの?」

「夢ですか? 
 やりたいことはたくさんあるんですけど
 ありすぎて決められないっていうか」

「いいことじゃないの それは」

「器用貧乏だって言われてるんですよ
 それなりになんでも出来ちゃうんですが
 これだけは誰にも負けないってものがなくて
 結局そういう人間って大成できないかもって」

「そんな 君はまだ中学生だろ
 可能性は多いに越したことないって
 俺だって君くらいの時は将来のことなんて
 ろくに考えてなかったし」

「そうなんですか?」

「今出来ることを一生懸命すればいいんじゃないかな
 そうすれば未来は自然に開けていくと思うし」

「はい! そうですね!
 森永さんって頼もしいなぁ
 これからも何かあったら相談に乗ってもらえますか?」

「え?
 ああ、それはかまわないけど」

嘘偽りのないキラキラとした瞳で見上げられて
俺は嬉しいというより少々戸惑った。
誰かに頼りにされる・・・俺には馴染みのない感触。
ってかなんか俺のキャラじゃないかも。

先輩を振り返ると、先輩は黙々とサンドイッチを頬張り
ごくごくと喉を鳴らしてスープを飲んでいた。

先輩はほとんど俺たちの他愛ない会話に加わらなかった。

それは、突然のかなこちゃんのボーイフレンド登場の
不機嫌も原因だろうが、やはり寝不足のせいらしい。
なんどもなんども、欠伸をこっそり噛み殺してる。

無理もない。
俺は実験が一段落した後4時間ほど睡眠を取ったが
先輩はほとんど徹夜だったはずだ。

俺が起きた時、先輩は顕微鏡の前でプレパラートを握ったまま
机にうつ伏せていた。
あわてて揺さぶると先輩の身体はずるりと椅子に沈んだ。
仮眠用のソファーベッドに運び、毛布を掛けた。

白い頬がいつもより青白くこけ
唇も色を失くしてカサついていた。
俺はその土色の唇を衝動的に吸った。
毛布の上からその細い身体を抱きしめた。

(もっと自分を大事にしてほしい・・・)

俺は院に先輩を残して急いでうちに戻った。

下ごしらえしておいた材料でサンドイッチを作り
サラダやフルーツをタッパに収めスープをポットに詰めた。

俺が持ってきたのは、ピクニックのための弁当でなく
先輩の朝食のつもりだったんだ。
しかし院に戻るとまもなく、先輩は目を覚ました。
先輩は大きく伸びをすると、目をこすりながら言った。

「かなこが待ってる」

・・・
・・・
・・・

広げた弁当を平らげると
かなこちゃんとエイジ君、松田さんは
ボートに乗りに行ってしまった。

俺たちも誘われたが、先輩はシートに横になったまま
動こうとしなかった。

「兄さんなんか放っとけば? 森永さん」

「いや 俺も腹がふくれたら眠くなったからさ
 先輩に付き合って昼寝してるよ」

「ふーん
 じゃ森永さん これあげる」

「え?」

かなこちゃんは俺に小さなボトルを渡すと
エイジ君と連れ立ってかけて行った。
松田さんは手作りクッキーの入った袋を残して行ってくれた。

「オレに付き合わんでいいぞ」

皆が行ってしまうとぼそりと先輩が口を開いた。

「狸寝入りだったんですか?
 かなこちゃんガッカリしてましたよ
 もう少し愛想よくしてあげたらいいのに
 ・・・まぁ先輩にそんな芸当ができないことは
 俺が一番よくわかってますけど」

「だったら言うな」

「すいません」

「それに眠いんだよ マジで」

「俺もです 
 先輩の不機嫌に付き合ったわけじゃないですよ」

「なんだよ 不機嫌って」

「かなこちゃんが心配なのはわかるけど
 いい加減に先輩も弟妹離れしないと」

「なんだよ それ」

シートに仰向けに寝なおすと大きく息を付いて
先輩は本格的に眠ろうとしばらく身じろぎし
じきに深い寝息を立て始めた。

「先輩 寝るなら俺の膝貸しましょか?」

冗談にも返る答はない。
俺は注意深く先輩の後頭部を持ち上げると
伸ばした脚の膝に乗せた。
かすかにもぞりと首を振る。

(おやすみなさい)

俺は俺たちと同じように
シートを広げて食事している左右の家族連れを横目に
すばやく屈みこんで
その唇をついばんだ。

俺がうちに弁当を作りに行ってる間だけなら
先輩は一時間も睡眠を取っていないはずだ。
それでも妹との約束を果たそうとした。

(それがボーイフレンド付きじゃ・・・ね)

怒りじゃない
失望とも違う・・・

・・・寂しさ・・・?

先輩が感じただろう感情を探り当て胸の痞えを覚えた。

(ごめん 先輩)
 
俺は掌の中のかなこちゃんがくれたものを
確かめてみた。

(日焼け止めクリーム?)

天を仰ぐと全体に発光したように空が白い。

(そういえば五月って一番紫外線強かったっけ)

俺はボトルからたっぷりミルク状のクリームを取り出すと
膝の上の先輩の乾いた肌に丁寧に乗せていった。

(ごめん 先輩 気付かなくて
 でもやっぱり女の子だな 
 良い妹だな かなこちゃん)

先輩の手にもクリームをすり込んだ後
残りでぽんぽんと自分の頬を叩いて
膝を先輩の枕代わりに貸したまま
俺もシートに寝転がった。

一面の芝の丘。
日差しはもう暑いくらいだ。
しかしそよ吹く乾いた風が心地良い。
うつらうつら、俺の意識も薄らいできた。

(もったいないな せっかく先輩と二人きりなのに)

そう感じながら
なんとも満ち足りた幸福感に包まれて
俺は兆してきた眠気に身を任せた。


(ーーちゃん --ちゃん)

(ーーくん こっちこっち)


夢と現の間に子供たちの歓声が響く。


(なに ないてるの? --くん)

(だってー ずるいもん
 おにいちゃんばっかり)

ケンカかな?

(おにいちゃんはコイノボリ
 かってもらったのに
 ぼくはなんでかってもらえないの)

(あのコイノボリはおとうさんとぼくと
 テツくんとさんにんのだよ)


・・・え?


(ちがうもん!
 あのコイノボリはおにいちゃんのだもん
 ぼくのはないもん!)

(テツくん わがままいわないで)

(やだ! ぼくもコイノボリほしいよぅ)


・・・俺?

わがまま言ってるのは俺?
俺、夢見てる?


(なかないで なかないで
 テツくん
 じゃおにいちゃんがつくってあげるよ)

(おにいちゃんが?)

(そうだよ
 テツくんだけのコイノボリつくってあげる)


・・・なんで俺、こんな夢見てるんだ?

俺は目をさまそうと強引に瞼を開こうとした。
しかし深い眠りに入りかけた身体は
力をすっかり失ってびくともしない。


(ほら
 がっこうでつくったコイノボリ
 --くんにあげるよ)

(やだー ぼくおおきいのがいいよー)

(あれはとうさんとトモくんとオレと
 さんにんのだよ)

(ぼくもおおきいコイノボリほしいよー)

(しょうがないなぁー
 じゃあ、あのおおきいコイノボリは)
 トモくんにあげるよ)

(ホント?)


・・・あれ? 夢?

なんで昔の夢なんか見てるんだ?
オレ・・・
ああ、そうか今日子供の日だから?
公園に来る時あちこちで幟を見掛けたからかな?

あの時は困ったよなぁー
巴のヤツ、さんざんわがまま言って
昔から言い出したら聞かんヤツだったから

ふっ・・・

ああ・・・気持ちいいなぁ・・・

あったかくて風が吹いてて
あの時と一緒だ

巴は母さんの
オレは父さんの膝で眠ってしまった

ここはホントに気持ち良いなぁ・・・

・・・
・・・
・・・

「これは、テツくんのコイノボリだよ」

「ぼくの?」

「そうだよ 
 おにいちゃんはこっちのちいさいのでいいから
 このコイノボリはテツくんのだよ」 

「うん!」

「おいで あそぼ!」

「うん! おにいちゃん」

「テツくん こっちだよ はやくおいで!」

「おにいちゃん まってよー」


空が発光したように白い。
風が新緑を吸い込んで薫る。

俺は夢を見ていたようだ。
すっかり記憶の中から零れ落ちていた
幼い日の思い出・・・

兄と俺と
たぶん傍には父さんと母さんもいたはずだ。

なぜ忘れていたんだろう・・・
なぜ今

ここで思い出したんだろう・・・

ああそうか・・・ここに来る時
鯉のぼりをいくつも見かけた
アパートのベランダに並んだ小さな紙の鯉のぼりが
気持ち良さそうに泳いでた。

目が覚めたら
話してみようかな? 先輩に

そう思いついて俺は夢の中でひっそりと笑った。

「兄さーん 森永さーん」

遠くからかけて来るかなこちゃんの声に
膝の上の重みがふっと軽くなったのを俺は感じた。


******** おしまい ********


どもおそまつさまでした~。

ゴールデンウイーク中にアップするつもりが
間に合いませんでした・・・;;
まぁ昨日から書いてちゃ間に合わんよね。
突貫工事みたいですいません。
でも
兄さんと森永くんの夢がシンクロするのが
テーマだったんで一応満足~♪

あ、かなこちゃんの友達の名は
高永先生のお名前をもじっただけ;;

最後まで読んでくださって
ありがとうございましたー!!

お茶していってね~





コメント
この記事へのコメント
こんにちは♪最後の一文に痺れました。も~なんなんですか、このカッコよさ。えっ、ポイントがズレてる?ええ、いつものことです。
2011/07/14(木) 15:32:35 | URL | きなこ #-[ 編集]
きなこ様~★
ありがとうございます!
痺れました?嬉しいです~(*^^*)
ポイントはどこでもOKですよーw
2011/07/14(木) 19:02:48 | URL | ぐらたん #Neb3My6c[ 編集]
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